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ロシアによるウクライナ侵略(2022年4月)

弁護士 苗村博子

前号の42号で触れた「グレート・リセット」は、気候変動対策のため、どれだけ人間が便利さを諦められるかについて語られるキーワードです。前号をお届けしてから 1 カ月もしないうちに、私たちは、21 世紀にあって、20 世紀前半の第 2 次世界大戦前に戻ったような専制国家による他国への一方的な侵略というリセットに直面しています。このリセットが起こってはならないことは、第 1 次世界大戦の勃発から約 100 年、第 2 次世界大戦から約 80 年で学んだはずでした。

ロシアにも反戦運動をされている方もいれば、単に偏った情報しか得られないために、ウクライナで行われている残虐行為を知らない人もいるという事実からすれば、これはプーチン氏の戦争であって、ロシアの戦争ではないというのは、真実でしょう。ましてや私たちの戦争ではないと日欧米、いわゆる民主国家といわれる国の人々は思っています。しかし、プーチン氏を含む G8 の組成を許し、北方領土交渉のため、プーチン氏の来日を許した私たちには本当に関係ないのか、自問自答するばかりです。

第1次世界大戦後の国際連盟も、第 2 次世界大戦後の国際連合も、結局かような侵略行為の開始も、拡大も止めることができていません。ゼレンスキー、ウクライナ大統領の日本の国会での演説にあったように、国際的な秩序を強権的に奪ってはならず、奪おうとする者を止める何らかの組織が必要ですが、私たちは何か良い仕組みを考え付くことができるのでしょうか?いずれにしてものんびりと仕組みを検討している余裕は、ウクライナの人々にはありません。人道という意識だけでもプーチン氏の中に覚醒することを祈るばかりです。

追伸、かような話題に私事で恐縮ですが、このウクライナ侵略が起こり、法律家としての私自身は、本当にしょんぼりしております。法律は、相手方も含め、人は理性と協調で理解しあい、お互いを拘束しあえることを前提に作られた仕組みです。この土台を崩されてしまうと立ち向かう術を持たないこと、その無力さをかみしめています。

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